【小学算数】速さの問題を簡単に解く、たった1つの考え方

小学算数
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「時速とは、1時間で進む距離のこと」

速さの単元で教えるべき内容は、これ1つだけです。

小学校の算数で多くの子が躓く単元である「速さ」の分野ですが、
意味(定義)をしっかりと教えてあげることで理解が深まり、
中学・高校の単位が関係してくる理系科目で躓きにくくなります。

「み・は・じ」で解くのは止めましょう

小学生の時に「みはじ」で教えられた子が中2の連立方程式のところで
四苦八苦しているのを見ると、意味(定義)を教えることの大切さを感じます。

ですが、学校の授業で細かく教えようとすると時間が足りなくて
テストの点数が壊滅状態になってしまうので、
目先点数が取れるような教え方をするしかありません。
問題は常に先送りされるもので、そればかりは仕方がありません。

ご両親自らチェックして、ちゃんと解けるようするしかないのかなと思います。

意味(定義)を理解して、自分で式を作れるように

驚くことに、小学校の教科書に「速さの定義」がしっかりと
書かれているのですが、これが難しい。

速さとは「単位時間あたりに進む距離」のこと

なんて言われてピンとくる人が一体どれだけいるでしょう。
単位時間ってなんぞやと思考が止まるのは当然です。
今まで見たことのない表現ですし、
中学生どころか大人だってピンとこない人の方が多いでしょう。

単位時間がどういうことなのかを崩して説明してあげると、
考えて解けるようになります。
教科書にも書かれているのですが、あまり強調されていません。
本質的にはこちらの方が遥かに大事です。

時速:一時間で進む距離のこと
分速:一分で進む距離のこと
秒速:一秒で進む距離のこと

もっと崩してあげると下のようになります。

・時速10kmとは1時間で10km進む速さのこと
・分速10kmとは、1分で10km進む速さのこと
・秒速10kmとは、1秒で10km進む速さのこと

つまり、

・時速を聞かれているなら、1時間で進む距離を求めればいい
・分速を聞かれているなら、1分で進む距離を求めればいい
・秒速を聞かれているなら、1秒で進む距離を求めればいい

こうなります。

速さの問題を解く時の考え方

「時速とは、1時間で進む距離のこと」

上の内容を使って、速さの問題全3パターンを解いてみます。

4時間で120km進む時の時速を求める場合は、
1時間で進む距離が時速なのですから、
120を4で割って時速30kmと求めることができます。

時速60kmで3時間進んだ道のりを求める場合は、
1時間で60km進む速さで3時間進んだのだから、
60が3つで60×3=180kmと求められます。

道のり240kmを時速60kmで進むと何時間かかるかという問題は、
1時間で60km進むのだから、240の中に60がいくつあるのかを考えます。
240÷60で4個ありますね。
1個1時間ですから4時間と求められます。
2.5個だったら2.5時間です。

公式を覚える必要はありません。
覚えなくては理解すべきは意味(定義)です。
覚えていても理解していなければすぐ忘れますし使えません。

上のように1つずつ考えて解くことで
論理的思考力が身に付いて基礎学力が伸びていきます。
公式の丸暗記で学力は向上しません。

割り算で躓いている子も少なくないです

この場合は小学3年生まで戻って教えていくことになります。
割り算の計算はできても意味が分かっていない子は意外と多い印象です。
分数、約分、比例、割合、速さで躓く子の多くは、
割り算の意味の理解が希薄なことが多いですね。

「概念を教えるのは難しい」というのはよく言われていることですが、
私もそう感じます。物を使って生徒さんが手で動かして考えられるような
授業をするのがよいと思います。

時速を分速に直す問題はどう考えるの?

時速を分速に直す問題の考え方ですが、
時速は1時間で進む距離で、分速は1分間で進む距離と考えます。

1時間は60分だから、時速とは60分で進む距離のこと。
ということは、時速の60分の1が1分で進む距離ということになり、
これが求めたい分速となります。

時速から分速を求めるには60で割ればいいと教えるのは、
教え方としては一番やってはいけない教え方です。
「なぜ60で割る必要があるのか」ここを教えないと丸暗記になり、
1週間後には60を割るのかかけるのか分からなくなって解けなくなります。

速さの単元は線分図で教えるとよいです

今の教科書が昔と比べてよくなった点として、
線分図で問題を解く考え方が書かれている点が挙げられます。

中学受験向けの塾では当たり前に使われている線分図ですが、
公立の学生さんが使っても非常に強力ですので、
是非使えるようにしておきましょう。
こちらの本が勉強しやすくて良いと思います。(私も使っています)

強育ドリル 完全攻略・速さ
強育ドリル 完全攻略・速さ
発売日:2007/12/15
価格:¥1,080

古い本ですが、素晴らしい内容です。

小学校で要領のいい子は要注意(理系と文系の違い)

4時間で120km進む時の時速を求める問題があった場合、
要領のいい子は問題文の120と4の数字から
計算しやすい120÷4という式を立てて、簡単に正解します。
今の小学生のテスト問題は非常に簡単なのでこの考え方でも正解できて
しまうのですが、こういう子はその後全く伸びなくなってします。

生徒さんがちゃんと理解されているかどうかを確認するには、
「どうしてその式で答えが求められるの?」と質問して、
日本語の文章が返ってくるかを確認すると良いと思います。
尤も、ちゃんと教えている学校は極めて稀なので、皆さん答えに詰まると思います。
中学生でも普通に詰まります。単語がポツポツ出てくるのがやっとです。

理由を説明できるようにするには、学校以外の場でしっかり教えないと
難しいと思いますが、これをやるのとやらないのとでは大違いです。
こんなことやらなくても中学は突破できたという方は少なくないでしょうが、
そういう方の多くは高校数学で詰まったと思います。

意味(定義)を理解しないと、高校の理系学科には太刀打ちできません。
中学生の理科や数学で躓いている生徒さんも多いです。

なんとなくや丸暗記で解ける文系科目はセンスや記憶力で割とどうにかなりますが、
理系科目は論理的に考える力が無いと解けません。
中学・高校の理系科目で躓かないようにするには、
小学校の時に考え方をしっかりと身に付ける必要があります。

文系と理系の違い
・才能(記憶力やセンス)で点数が取れる文系科目
・1つずつ考えて積み上げていかないと解けない理系科目

言い換えると、
・才能の差が大きく影響する文系科目
・努力の絶対量で意外とどうにかできる理系科目

文系と理系にはこんな違いがあると思います。

計算速度を上げるには、ある程度の計算練習が必要と思います

算数や数学ができるようにするためには、

・基礎的な計算力を繰り返し計算練習をして身につける
・答えを求めるためにはどんな式が必要なのかを考える
 (答えから式を逆算してはいけない)

この2つが大事だと思います。

さっと教えてすぐ出来るようにするのが家庭教師の仕事だと言われることが
少なくないのですが、算数という科目はそんなに甘くありません。
何度も何度も反復練習して考えないと自分の身になりません。
仮に、教えてすぐできるような方法があるのなら、
とっくに学校で採用されてみんなできるようになっています。

皆さんできていないということは、
そんな都合のいいものは存在しないということを意味します。

成績のいい子は、他の子より何倍も繰り返し考えて解いています

テストの点数が取れる子は人一倍考えて繰り返し解いているだけなのですが、
最近は「才能があれば、練習や勉強をしなくてもいい結果や成績が取れる」
と思われている子が非常に多いので、教える難しさを感じます。

特に小学校の頃、勉強してないのにそこそこの点数を取れていた子は
一回で全て覚えられることが記憶力があるということだと思っている子がとても多く、
繰り返し解いて覚えるという地道な作業をやりたがりません。
勉強が難しくなってくると一回で覚えられない自分は記憶力が悪くて勉強の才能が無い、
だから「勉強なんかしても意味がない」と逃げてしまいがちです。

そこを「繰り返し解けばちゃんと自分も覚えられるんだ」というように
考え方を変えてくれるように働きかけることが家庭教師は大事なのだと思います。
それでもなかなか受け入れてもらえないのが難しいところなのですが。

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