【指導法】論理的思考力を伸ばす授業の難しさ

指導法
この記事は約5分で読めます。

思考力を伸ばす、言うだけなら簡単です。

では、実際の現場はどうなっているかと言いますと、解法を丸暗記させて
ただただ繰り返す授業が大半で、原理に触れず、闇雲に目先のテストの
点数を取るための暗記ばかりのつまらない授業になっています。

理想と現実がどうしてこれほど乖離してしまったのか。
それは、思考力を伸ばすことの難しさを知ると理解できるのかもしれません。

思考力を伸ばす授業は万能ではない

万能であれば、全てがそれに置き換わっているはずです。
しかし、実際はほとんどの場所でそういう授業をしなくなっています。

そこには、思考力を伸ばす授業の難しさが隠れていると感じます。

思考力を伸ばす授業の難しさ、問題点

・成績を伸ばすのに一定の時間が掛かる
・頭を使うので生徒側も先生側も疲労が大きい

・指導内容を適切に調整する必要があるので、1vs1でしか教えられない
・指導側に高い実力と技術力と根気が求められる

先生側に高い技量を求められるのが最大の問題点です。
そして、指導を受ける生徒側も当然大変です。
両者が頑張って初めて成立するのが思考力を伸ばす授業なので、
それが叶うケースは本当に少なくなってしまいました。

時間も多く必要です。
一定の成果を出すには3ヶ月もあれば足りますが、
しっかり定着させるには1年~2年くらいは見るべきですね。
普段の習慣を変えるにはそのくらいは続ける必要があります。

思考力を伸ばす授業の大変さの一例

小4の女の子のご家庭で頂いた感想があります。
その時は授業を横で見てくださっていました。

大人の自分が横で聞いているだけで疲れてくたくたになるのに、
最後まで授業をしっかり受けられているのが凄い

思考力を育てる授業は、こういう感想になります。

お子さんに対して頭を使う働きかけができないが故にお子さんの思考力が
伸びないという構造になっているので、ご家庭で改善するのは難しいと感じます。

指導側の技量は報酬額に比例します

思考力を伸ばす授業は難しいのですが、
それに見合う報酬は全く得られなくなってしまいました。

指導側が適切な報酬がもらえなくなった時点で、
高度な授業をできる人がいなくなるのは当然です。
今は30年前より塾も家庭教師も大幅に安くなっています。
報酬額は貴方の授業にはそれしか支払う価値がないと強く暗示するものです。
稼げない職種から優秀な人が離れていくのは仕方がありません。

学校の先生も塾講師や家庭教師よりは多いとは言え
十分な給料が貰えておらず、授業の質を上げることが叶いません。
日本の教育の質の低下は、根本的には指導側への報酬額が下がったことが
大きな要因になっています。

多くの方は楽に点数を取りたいだけ

時間が掛かり、環境づくりも必要となる思考力を伸ばす授業は
そもそも今の時代では好まれていないという現実があります。

保護者の方はお子さんの点数を何とかしたいのであって、
手間はかけたくありませんし、費用も当然安くしたいと考えます。
問題集があれこれ必要だと言われても、
お子さんともっと対話してくれと言われても、
こちらはお金を出しているのだからその辺は全部やってくれと
思われていらっしゃる方が多いのは当然です。

生徒さんも楽に点数が取りたいだけなので、疲れることはしたくありません。
今まで考えずに正解できてきたのに、何故そうなるのか聞かれても
そういう風に教わったんだから当たり前という感想しか出てきません。
勉強なんてつまらないし、理屈なんてどうでもいいから点数さえ取れれば
いいとしか考えていなければ、考える授業なんてめんどくさいものは
受けたくないと思われるのが当然です。

そういう背景があって、思考力を伸ばす授業はできなくなりました。
今は何もかもを暗記する授業ばかりになった要因には、
そういう授業が求められいないという背景があるのかもしれません。

思考力を伸ばしたいのであれば小学生のうちに

思考力を伸ばす授業を成立させるためには、
思考力が大事だと考える生徒さん、保護者、指導者が揃う必要が
ありますので、現状ではなかなかできることではありません。
もし、思考力が大事だと考えていらっしゃるのであれば、
可能な限り早く思考力を育てる指導ができる先生を探すべきと思います。

時間的猶予ですが、実際に教えている感覚ですと100%定着させるには
小学4年生くらいまでに始める必要があると感じます。
3ヶ月もあればある程度できるようになりますが、サボると元に戻ります。
2年ほど練習を続けていると無意識にできるようになるので、
勉強量が大幅に増える中学生までには対策したいところです。

中学生は思春期で自我を優先する時期なのと思考が硬直化している
学生さんが多いという現実があり、うまくいくケースは稀と感じます。
今の世代は特に、頭の負担にならない解法パターンを繰り返す授業の
方がずっと好まれます。

一方、早ければ早いほどいいのかという視点で考えますと、
流行の幼児教育もあまり思考力が育っていないケースが目立ちます。

勉強量よりも正しく勉強できるようにすることや、勉強が大事だという
意識付けは早いほうが好ましいとは思いますが、小2くらいまでは学校の
勉強だけに留め、徹底的に遊ばせるくらいの方がいいのかもしれません。
昔から言われているように、小さいお子さんにとって
よく食べ、よく寝て、よく遊ぶこと以上に大事なことはありませんからね。

コメント

タイトルとURLをコピーしました